社会情報学ゼミ(政治学教室)  

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■キーワード

政治学、政治哲学、政治経済学、国際政治学、論理トレーニング


■目標

 政治について混乱した議論が氾濫している昨今、われわれに求められることは流布されている言説や虚偽情報に流されずに、自らのフレームワークに基づいて政治を冷静にみつめることである。そのフレームワークづくりこそ、このゼミで各自が抱えるべき目標である。もっとも、ここで言う政治は、国会での出来事のみを指すものではない。政治はわれわれの日常生活に深く関わっており、社会や経済に対する洞察抜きには捉えきれない概念である。それゆえこのゼミでは政治学のみならず、社会や経済を理解するうえで必要な知識についても勉強することになる。また、フレームワークづくりや冷静な判断をするために不可欠な論理的思考についても、このゼミでしっかりと身につけてもらうことになる。

 とはいえ、卒業研究は広く政治に関係することであれば、いかなるテーマであっても構わないというのが私の方針である。要は、独創的な卒業研究につながりうる自分のフレームワークづくり、これがゼミの――より正確には、各ゼミ生が抱えるべき――目標であって、私の役目はその達成のための手助け――手取り足取りの指導ではなく、あくまで手助け――をすることである。したがってゼミ生には、それ相応の意欲と自主性が求められることは言うまでもない。


■概要

前期:政治学関連の文献を輪読すると同時に、論理的思考を鍛えるべく、野矢茂樹『新版 論理トレーニング』(産業図書、2006年)の予習と課題問題をベースに論理トレ ーニングを行う。

夏休み:卒業研究テーマの構想づくりと文献リストの作成を各自行う(夏休みの宿題)。

後期:各ゼミ生の問題意識に沿った論文や本を輪読し、それらを題材に批判的に議論することを通じて、次年度の卒業研究に向けてテーマを練り上げてゆく。


■レベル

「政治学概論」「政治理論」「現代政治分析」で学習する程度の政治学の基本的知識が求められる。この3科目を履修していない者は、以下の文献に一通り目を通しておいて欲しい。
久米郁男・川出良枝・古城佳子・田中愛治・真渕勝『政治学 補訂版』(有斐閣、2011年)


■履修資格

ゼミでの報告や役職を、責任をもって果たす人間であること。すなわち、遅刻や無断欠席、正当な理由なしにドタキャンをしない人間であること。


■評価

ゼミへの貢献度、課題、発表などにより総合的に評価する。


■メッセージ

自分なりの見方や立場を確立したいと考えていて、そのためにはとことんまで議論することを厭わない学生には向いているゼミである。逆に、そうした意欲に乏しい学生には向かないゼミである。


■参考

【2012年度ゼミ輪読文献・後期】

○D. ドレズナー(谷口功一・山田高敬訳)『ゾンビ襲来』白水社、2012年
○大嶽秀夫『日本型ポピュリズム』中公新書、2003年
○斉藤淳『自民党長期政権の政治経済学』勁草書房、2010年、第1, 2, 6, 7章
○森村進『自由はどこまで可能か』講談社現代新書、2001年
○J. フィシュキン(曽根泰教監修・岩木貴子訳)『人々の声が響き合うとき』早川書房、2011年
○佐藤卓己『メディア社会』岩波新書、2006年
○B. ガイ・ピータース(土屋光芳訳)『新制度論』芦書房、2007年、第1〜4章

【2012年度ゼミ輪読文献・前期】

○ジェイムズ・クロッペンバーグ(古矢旬・中野勝郎訳)『オバマを読む』岩波書店、2012年
○渡辺靖『アメリカン・デモクラシーの逆説』岩波新書、2010年
○五野井郁夫『「デモ」とは何か』NHK出版、2012年
○宇野重規『〈私〉時代のデモクラシー』岩波新書、2010年
○戸田山和久『「科学的思考」のレッスン』NHK出版新書、2011年
○飯尾潤『日本の統治構造』中公新書、2007年
○河野勝・金慧「復興を支援することは、なぜ正しいのか」『復興政策をめぐる《正》と《善》』早稲田大学出版部、2012年、第3章

【2011年度ゼミ輪読文献・後期】

○森脇俊雅『集団・組織』東京大学出版会、2000年、序章〜第4章
○玉野和志『創価学会の研究』講談社現代新書、2008年
○「特集=「正義論」への招待−憲法・法哲学から“サンデル”を読む−」『法学セミナー』日本評論社,2011年5月号
○山田真裕・飯田健(編著)『投票行動のフロンティア』おうふう、2009年、第1, 2, 7, 9章
○山脇直司・押村高(編著)『アクセス 公共学』日本経済評論社、2010年、第5, 6章
○S. ムルホール・A. スウィフト(谷澤正嗣ほか訳)『リベラル・コミュニタリアン論争』勁草書房、2007年、序論、第1章
○竹村和久『行動意思決定論−経済行動の心理学−』日本評論社、2009年、第1, 9, 10章
○川北隆雄『財界の正体』講談社現代新書、2011年
○広井良典『日本の社会保障』岩波新書、1999年
○島薗進『国家神道と日本人』岩波新書、2010年

【2011年度ゼミ輪読文献・前期】

○河野勝『制度』東京大学出版会、2002年
○大山礼子『日本の国会−審議する立法府へ−』岩波新書、2011年
○吉田徹『ポピュリズムを考える−民主主義への再入門−』NHKブックス、2011年
○菅原琢『世論の曲解−なぜ自民党は大敗したのか−』光文社新書、2009年


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